人工知能/AIと機械学習が金融不正に対抗できる5つの手段

Tim Bedard, 2019年4月3日

バンキングの最大の課題のひとつは、誤検知(過剰検知)が生成される数を最小限に抑え、結果として時間、費用を削減し、不要なカスタマーの不満を避けることです。

最も際立つ2つの技術的専門用語、人工知能/AIと機械学習が実質的にあらゆる産業や分野の変容を推進していることは、誰もが知っています。 どちらも内部プロセスを合理化して効率を高め、莫大な量のデータの意味を理解してインテリジェントな意思決定を促進し、新しく革新的なサービスを作成してカスタマーエクスペリエンスを向上させるためにビジネスの役に立っています。

とりわけAIと機械学習が大きな影響を及ぼしている分野は、金融サービスです。特に不正詐欺に立ち向かうとなると当てはまります。不正詐欺はサイバー犯罪として成長を続け、カスタマーアカウントにアクセスする新しい手口を探しています。

例えば、アカウント乗っ取りは消費者にとって最も手ごわい不正詐欺のひとつですが、2018年に大幅に増え、その前の12か月の間に攻撃数は3倍に膨れ上がり、被害額は51億ドル(39億ポンド)に達しました。

消費者も金融機関もそれほどまでの莫大な数の危険にさらされる中、AIと機械学習のテクノロジーはどのように増えゆく不正詐欺の脅威に戦っているのでしょうか。

正確なデータ分析

機械学習アルゴリズムの最も重要な特徴のひとつは、莫大な量の取引データを分析でき、リアルタイムで非常に正確なリスクスコアと併せて疑いのある取引にフラッグを立てられることです。このリスクベースの分析のアプローチにより、アナリストには特定しにくい複雑なパターンを検出します。つまり、銀行と金融機関はより多くの不正詐欺を検出しながら運用上の効率をはるかに高めています。

アルゴリズムはカスタマーのロケーション、使用したデバイス、その他の前後関係のデータポイントといった要因をいくつか考慮して、各取引の詳細な図式を構築します。このアプローチでリアルタイムの決定を向上させ、カスタマーを不正詐欺からより良く保護します。これをすべて、ユーザーエクスペリエンスに影響を及ぼさずに行います。

そしてこの動向が今後数年かけて継続されるでしょう。この分野の重要な技術の発展のおかげで、組織は徐々に機械学習アルゴリズムを頼って、疑いのある取引を特定していけるでしょう。

不正詐欺アナリストの負担削減

莫大な量の分析待ちデータに併せ、新しいサイバー脅威の加速化により、不正詐欺アナリストには疑わしく見えるものをすべてタイミング良く特定するというタスクはほぼ不可能になっています。そのためFIは、迅速な分析とクロスチャネルのデータの抽出を実現し、同時に不正詐欺をリアルタイムで検出する革新的なアプローチを取る必要があります。

AIを利用して、データ分析はミリ秒で完了し、人間のアナリストでは特定しにくい複雑なパターンを効率良く検出します。

これにより、人間の介入が必要なケースが減るため、すべての取引をモニタリングする手作業の量が削減されます。SCMagazine.comに述べられているように、不正詐欺アナリストの仕事量が管理しやすくなり、時間のかかるタスクへの負担がなくなって、最高リスクスコアのケースなどの最も重要なケースにのみ集中できるようになり、アナリストの仕事の品質と効率も良くなります。これにより不正防止オペレーションのコストが削減されます。また、リスク評価が優れているため、処理が滞りなく完了する本物の取引の効率が高められます。

人工知能/AIと機械学習はどのように金融詐欺と戦えるのでしょうか?
  1. 正確なデータ分析
  2. 不正詐欺アナリストの負担が減る
  3. 誤検知(過剰検知)を抑制
  4. 効果的な攻撃検出
  5. 法規制の遵守を達成

誤検知(過剰検知)を抑制

最近の金融インフラストラクチャの複雑性のレベルでは、「誤検知(過剰検知)」という用語が不正詐欺と戦う業界の試みに密接についてくるようになりました。バンキングの最大の課題のひとつは、誤検知(過剰検知)が生成される数を最小限に抑え、結果として時間、費用を削減し、不要なカスタマーの不満を避けることです。

AIと機械学習がこの分野で大きな役割を演じます。データポイント、事業体同士の接続、および不正詐欺パターン(不正詐欺アナリストには未知の不正詐欺シナリオを含む)の相当な規模のセットを分析する能力がどちらにもあるため、誤検知(過剰検知)の広がりは徹底的に削減されます。

つまり、不正詐欺の問題で誤って却下されるカスタマーの数が減り、同様に、フラッグの立てられた取引をレビューするためのスタッフの割り当てに関連する労力と時間とコストが最小化されます。

効果的な攻撃検出

SCMagazine.comに述べられているように、機械学習アルゴリズムは、構造化データと非構造化データの膨大なプールの中からパターンを特定することに長けています。このため、新しく浮上してくる不正詐欺攻撃の検出には人間よりもはるかに優れていることになります。

異常なソースからトラフィックスパイクを予測する能力でも、異常が発展する前にそれを検出するためにカスタマーの詳細なプロファイルを構築することでも、より効果的な攻撃検出がAIと機械学習からもたらされるという主な利点のひとつです。そして、これらのツールがもっとパワフルになるほど、銀行と金融機関の展望も指数的に向上するでしょう。

法規制の遵守を達成

マニュアルで定義したルールやポリシーに基づく不正詐欺防止システムは、もはや現代のデジタルバンキングエコシステムについていけません。その先を行くために金融機関には、教師ありでも教師なしでも機会学習によるAIを活用する不正詐欺検出ソリューションが必要です。

機械学習により組織はデバイス、アプリケーション、取引の全体で前後関係をもってデータを分析でき、マニュアルの入力はごくわずかしか必要ありません。つまり、ポリシーは継続的に適用されます。これが法規制の遵守を時間とともに維持していくためには不可欠です(PSD2など)。これで銀行側の時間が削減され、高くつく罰金の可能性を最小限に抑えることができます。

最終的には、これらの異なる要素は分離して検討できないことを覚えておくことが大切です。どれも不正詐欺防止のパズルの全体を成す重要なピースで、それらが合わさってバンキング業界がカスタマーを保護し、金融詐欺という数十億ドルもの問題に戦うために役立ちます。

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この記事は当初、2018年3月28日にSCMagazine.comに公開されました。

TimはOneSpanの製品マーケティング担当ディレクターであり、会社のID検証、電子署名、および安全な契約自動化ソリューションを担当しています。ティムは、主要なセキュリティ組織において、製品戦略、製品管理、およびマーケティングにおいてリーダーシップを発揮してきました。