2022 年の電子署名とデジタルトランスフォーメーションのトレンドと予測トップ 5

Rahim Kaba, 2022年1月13日

COVID-19 のパンデミックは、ビジネスのあり方を大きく変え、その影響は、サプライチェーン、業務プロセス、リモートワークへの混乱として今もなお続いています。OneSpanはその著しい変化目の当たりにしてきましたが、最も大きく変化したのは、デジタルトランスフォーメーション戦略の策定と、デジタルビジネスや行政の進展への 電子署名スマート・デジタルフォーム強力な認証などのデジタル技術の採用の加速です。紙の時代から 、SaaS、データ分析、ブロックチェーン、ビッグデータの時代へと移り変わる中、スタートアップ企業や大企業のビジネスリーダーは、非効率な契約プロセスを排除し、完全に自動化されたプロセスのデジタル化に移行しようと競い合っています。今後を見据えながら、2022 年のデジタル契約やカスタマーエクスペリエンスの状況を形成する5 つの予測をご紹介します。

デジタル化のトレンドと 2022 年の予測

1.企業は人間とデジタルが融合するハイブリッド型の体験を引き続き導入する

パンデミックへの対応として、個人や組織は、銀行の支店や従来のPOSシステムなど公共の場での露出を制限しようとしていますが、このような消費者の嗜好の変化は 2022 年にも継続されるでしょう。Aite-Novarica 社の調査によると、要件が複雑になるにつれ、消費者は人間によるサポートが得られるチャネルを利用する傾向にあります。例えば、ウェルスマネジメントでは、ファイナンシャルアドバイザーと顧客との間の直接対話を大切にしています。利便性やパーソナライゼーションに対するお客様の期待の高まりに応えるためには、サービス提供者はアドバイスの提供方法を近代化する必要があります。

デジタル体験も重要ですが、消費者は最終的に自分のニーズを満たすことができるハイブリッド型の体験を求めています。つまり、デジタルによるサービスと人間が行うサービスの適切なバランスを見つけるということです。ローンや生命保険の申込みのように、消費者はリサーチや情報収集を行う際に、デジタルと人間を介したサービスの間を行き来することがあります。そのため、こうしたデジタルのエンドツーエンドのツールを、オンラインでも、アドバイザーや代理店でも利用できるようにすることが重要です。

新しいテクノロジーの導入により、ハイブリッド型の環境で対面式の体験の再現が可能になりました。電子署名、ビデオ会議、リアルタイムでの共同ブラウジングなどの豊富なコラボレーション機能を利用することで、顧客とスタッフの対面型体験を安全な方法で忠実に再現することができます。2022 年には、このようなハイブリッド型の体験を可能にする新しいテクノロジーの採用が増加していくと予測しています。

「パンデミック後も、お客様はデジタルを利用していくでしょう。しかし、お客様が人間の仲介を必要とする際はお客様に人間が行うサービスを提供する、それがデジタルと人間との繋がりへの当社の姿勢です」
– U.S.銀行 EVP 兼コンシューマー・チーフ・デジタル・オフィサー Ankit Bhatt 氏

2.世界的に新たな法規制で、より多くの種類の契約に電子署名が可能になる

現代の電子署名法は 20 年前に制定されたもので、近年の電子署名の利用拡大に伴い、時間をかけて進化してきました。米国カナダ英国アイルランドオーストラリアをはじめとする数多くの国では、あらゆるレベルの政府機関において、電子署名や電子記録が手書きの署名や紙ベースの記録と同等の法的効力を持つことを認める法律や規制を制定しています。

現在のパンデミックを考慮して、多くの政府は、これまで物理的な署名が必要だった分野に電子署名を使用する柔軟性を拡大しています。こうした施策の中には、米国の SECURE 法によるリモートオンライン公証や、カナダのオンタリオ州における宣誓供述書の宣誓、遺言書や委任状の執行に関する変更など、一時的にしか実施されていないものもあります。しかし、今回のパンデミックがきっかけとなり、従来はデジタルでの執行が不可能と考えられていた法的拘束力のある契約を、テクノロジーの活用で執行することがより恒久的に進むのではないかと期待されています。

ここでは、世界の電子署名に関する法律や規制の枠組みが、デジタルビジネスや行政の可能性を広げ進化し続けていることを示す最近の事例を紹介します。

  • 世界的にみると、多くの国で住宅ローンの書類、証書、遺言、委任状などへの電子署名の受け入れが遅れていますが、オーストラリアのビクトリア州では、2021 年に法律(Electronic Transactions (Victoria) Act 2000)を改正し、重要な財産計画書類に電子署名とリモートによる立会人を認めました。
  • 昨年、英国の土地登記所は、不動産譲渡手続きを電子署名で署名・登録できるようにするという画期的な措置をとりました。これにより、消費者は紙への署名やオフィスに出向くことなく、証書に署名できます。財産譲渡専門弁護士が OneSpan Signなどのオンラインプラットフォームに証書をアップロードし、署名者にリンクを送信します。署名者は必要な本人確認・認証を行った後に、証人立会いのもとで電子署名を行います。
  • 米国では、連邦準備銀行(FRB)、証券取引委員会(SEC)、内国歳入庁(IRS)が電子署名ガイダンスを発表し、これまで以上に多くの書式や文書に電子署名を利用できるようになりました。また、カナダ歳入庁(CRA)も同様の施策を発表しています。
OneSpanグローバル金融規制レポート
報告する (英語のみ)

OneSpan Global Financial Regulations Report

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3.リモートによる電子署名への本人確認の強化が見られるようになる

2022 年、より強力なリモート認証や本人確認を利用することで、企業や組織はデジタルトランスフォーメーションをさらに進めるでしょう。

入社手続き、口座開設、公証などの契約プロセスは、これまで対面で行われてきましたが、在宅勤務や社会的距離の確保のルールにより、サイバーセキュリティの確保や不正行為からの保護を可能とするより高度なID保証のプロトコルが必要となっています。特に、金融サービス、保険、同様の事業展開を行う他業種における高額で高リスクの契約がその対象です。例えば、金融分野の契約は、他のユースケースに比べて ID詐称のリスクが高いため、より高いレベルのID保証が必要になります。これは、個人が提示する認証情報が実世界のIDになるという信頼度を意味します。リスクの低い案件では単純な電子メールまたは SMS 認証で十分な場合もありますが、政府発行の写真付きID や生体認証による強力な認証が必要となる場合もあります。

すべてのユースケースでリスクのレベルが異なるため、万能のアプローチはありません。最終的には、契約を保護し、リスクを低減し、コンプライアンスを強化するために、幅広い本人確認・認証機能を提供する電子署名ソリューションを見つけることが大切です。

4.従来の入力フォームは、インテリジェントな対話型の体験にシフトする

デジタル化された今日のビジネス環境では、静的ページにおける面倒で手間のかかるPDFやWeb上での入力フォームは業務の過去の遺物となっています。入力フォームの自動化と近代化は、新規顧客獲得の際の摩擦を最小限に抑えるための鍵となります。電子署名が必要な契約書などのオンラインの入力フォームにインテリジェンスを組み込むことは、スタッフやお客様が安心して手続きを完了できるために重要です。

電子署名は、紙ベースの業務プロセスのデジタル化の一環として、間違いなく効率性を高めます。しかし、入力やデータ収集の手続きが煩雑で途中で放棄してしまえば、電子署名の機会を得られなくなってしまいます。そのため、企業はスマート・デジタルフォームに投資して、面倒で手間のかかる PDFでの手続きを、ステップごとのガイダンスを提供するモバイル対応の入力フォームに変えています。パソコン、タブレット、スマートフォンを問わず、簡単に入力フォームを完成させることができます。また、記入された顧客データから署名準備の整った契約書が生成されるため、取引成立まで一歩近づけます。AIや機械学習を入力フォームに組み込むことが、顧客向けの契約書を進化させるための重要なステップになると予測しています。

5.シェアードサービスが企業のデジタル化を加速する

電子署名やスマート・デジタルフォームの導入をはじめとするデジタルトランスフォーメーションの取り組みの多くは、特定のニーズに対応するために単一のビジネスライン内でスタートします。個人向け投資や商業銀行の口座開設、リモートでのローン契約や融資取引、オンライン保険の申し込みなどがその例です。特定のビジネスユニットがデジタル化して当面の問題を解決すると、ROI(費用対効果)が実証され、サービスが企業全体に拡大していきますが、これには問題があります。テクノロジーを企業全体に分散させる戦略を意図的に立てなければ、冗長で重複したソリューションになってしまいがちです。

 企業のデジタル化への取り組みが拡大し、電子署名の導入が進むにつれ、より多くの組織がシェアードサービスにおけるビジネスモデルに移行するでしょう。このモデルでは、多くのビジネスユニットや個々の部門がアプリケーションを利用できるような形で、アプリケーションが組織内に集中的に展開されます。組織は標準化され、組織を変革するための体系的なアプローチをとることができます。

そのメリットは非常に大きいと言えます。シェアードサービスのアプローチにより、ユーザーエクスペリエンスを標準化し、すべてのビジネスユニットとチャネルで一貫したユーザーエクスペリエンスを提供することができます。さらに、導入したアプリケーションの重複や冗長性を排除することもでき、莫大なコスト削減が可能になります。例えば、BMO は、電子署名と eフォームのシェアードサービスに関するテクノロジーの再利用性から、4 年間で 5000 万ドルのコスト削減を見込んでいます。

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RBCとIndustrialAllianceが、電子署名、eForms、およびその他のテクノロジーを共有サービスとして展開することにより、野心的な企業のデジタル化アジェンダにどのように取り組んだかを学びます。

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2022 年のテクノロジー・トレンド:企業や政府機関のデジタル化への取り組み

企業や医療機関、政府機関は、紙の時代を終わらせるために、デジタルトランスフォーメーションへ大きな一歩を踏み出しましたが、まだ紙の時代を終えるまでには至っていません。多くの企業や組織は従来の紙ベースの業務プロセスをデジタル化することに予算を費やしていますが、デジタル化が進んでいる企業は既にデジタル化された業務プロセスを近代化し、完了率を高める方法に投資しています。各企業における進捗状況がどうであれ、パンデミックがもたらし加速させたデジタル変革は、新しいビジネスエコシステムの中に残っていくでしょう。OneSpanは、パンデミック後も世界中の圧倒的多数の消費者が電子契約を継続することは間違いないだろうと考えています。入力フォームや契約書への記入と署名に余計な手間や時間がかかるために、お客様が競合他社に流れたり取引をキャンセルすることを確実に減らすには、顧客獲得時間の短縮、社内チームの作業負荷の軽減、オンボーディングの改善、完了率の向上が鍵となります。

Rahim Kabaは、世界中の組織でデジタル化イニシアチブを推進する上で重要な役割を果たしてきた、情熱的で結果重視のデジタルテクノロジーリーダーです。